SALAレディースクリニック 桝田充彦(ますだみつひこ)
あの病室の光が、医師への道を照らした

桝田充彦医師が医師を志したのは、幼少期に自身が入院していた体験がきっかけだった。看護師や医師の支え、そして「人の命を助ける」という仕事への憧れが、幼い心に深く刻まれたという。
大学進学後、医療現場での実習を通して桝田医師は初めて、医師としての責任と面白さを実感する。外科手術の緊張感、分娩室での生命のやり取り、患者や家族の表情。どれもが教科書では学べない“生きた知識”だった。特に、研修中は処置を医師二人だけで対応するケースがほとんどだったといい、その症例の多さは、桝田医師の判断力と技術を飛躍的に成長させた。
桝田医師は振り返る。「あの経験がなければ、今の自分はなかった。患者に向き合う姿勢も、医師としての基礎力も、すべてあの現場で培われました」
医師としての原点は、ここにある。
自分の責任で患者を守る
大学病院での研修を終え、桝田医師は関連病院で10年間、手術や分娩に携わる日々を送った。しかしある日、桝田医師が指導を受けていた医師の急逝により一人で多くの責任を担うことになる。
「支えてくれる人がいなくても、患者の命を守らなければならない現実を痛感しました。自分で責任を持つ医療の大切さを、この経験で学びました」
その後、大学病院時代の医局長だった医師から、一緒に地域医療を盛り上げて欲しいと連絡を受ける。地域医療への思いに共感し、「自分も患者やスタッフの支えとなれる場所を作りたい」との思いが芽生えた。
そして、SALAレディースクリニック開院の決断へとつながる。

痛みを避けつつ、正確な診療を
SALAレディースクリニックでは、女性患者が安心して通える環境作りを徹底している。桝田医師は「痛いことや怖いことは避けつつ、手加減せずに正確に診療する」という信念を持つ。
「患者の表情や言葉の端々から悩みを読み取り、一方的に提案するのではなく、一緒に最適な治療方法を考えることが信頼関係の基礎です」
診療の現場では、確かな医学的知識に加えて、長年の経験に裏づけられた直感も欠かせない。
桝田医師の医療は、技術と人への思いやりが融合したもの。単に病を治すのではなく、患者の人生や日常そのものに寄り添う医療を実践することで、
SALAレディースクリニックの本当の価値が生まれている。

卵巣がん検診を受ける文化を根付かせる
桝田医師が現在、最も力を入れている取り組みのひとつが、卵巣がん検診だ。卵巣がんは、他の婦人科がんと比べて自覚症状が出にくく、進行してから発見されるケースが少なくないという。特に30代から40代の比較的若い世代でも発症することがあり、子育て世代の女性が命を落としてしまう悲しい事例も報告されている。そのため、桝田医師は「早期に見つけることが何よりも大切だ」と強調する。
桝田医師は、単に検査を行うだけでなく、女性が自らの健康に関心を持ち、積極的に検診を受ける文化を地域に根付かせたいと考えている。「子宮頸がんや子宮体がんの検診のときに、ついでに卵巣も診る」という新しい概念を広めることが、その一歩だという。
「将来的には卵巣がん検診が当たり前になり、女性が自分の体を守ることが自然な文化になることを願っています」
その強い意志は、地域の女性たちの健康を守る取り組みの原動力となっており、クリニック全体の方針にも反映されている。卵巣がんという見えにくい病気への啓発を続けることで、地域全体の命を守る医療の土台を築いていく。

地域医療を照らす、確かな光として
医師として30年近い歩みを重ねても、桝田医師は決して立ち止まらない。
日々の診療を学びの場と捉え、技術と知識の研鑽を重ねながら、地域医療の発展に力を注いでいる。
「これまでに多くの方々から受けたご指導や支えを、今度は患者さんやスタッフに返していきたい」
そう語る桝田医師の姿勢は、スタッフ教育や地域との連携にも息づいている。
その真摯な取り組みは、医療現場全体の質を底上げし、他の医師たちの手本ともなっている。
桝田医師の理念は一貫している。
──「患者の安心と満足を最優先に、常に成長し続けること」。
これまでの経験や出会いに感謝を忘れず、日々の診療と運営に誠実に向き合う姿勢こそ、地域医療を支える温かな光であり続けている。

