── メスを使わず、対話から“ナチュラルな美しさ”を設計する。
「綺麗になるのを怖がらない社会」を掲げる、女性医師の挑戦。
ミサクリニック 六本木本院
院長 寺井美佐栄(てらい みさえ)

「美容医療は、派手に顔を変えるための場所ではありません。その人が本来持っている魅力を引き出し、自分らしさを取り戻すための場所なんです」
そう穏やかに語る寺井美佐栄医師の言葉には、美容医療という華やかなイメージの裏側にある、誠実さが宿っている。
寺井医師が院長を務めるミサクリニック 六本木本院には、どこか緊張した面持ちの患者たちが訪れる。
その多くが、「今さら綺麗になりたいなんて恥ずかしい」「整形は怖い」という葛藤を抱えてきた人々だ。寺井医師が掲げる理念は、「綺麗になるのを怖がらない社会の実現」。
それは、美容医療を単なる外見の変化にとどまらず、前向きに生きるための自己投資として捉えようとする試みである。
診察室という限られた空間の中で、彼女はどのようにして患者の「心の扉」を開き、信頼を築いているのだろうか。
寺井医師の美学、白衣の向こう側に迫った。
「君には無理だ」という一言が、火をつけた
意外にも、寺井医師が医学を志した原点は、「反骨心」だった。
千葉の進学校に通っていた彼女は、周囲に医学部志望者が多い環境にいながら、当時は文系クラスに身を置いていた。「高2の進路面談で、ふと『医学部ってそんなに良いんですか?』と先生に聞いたんです。そうしたら、『寺井さんは文系だし、今からは無理だよ』と即座に言われてしまって。その瞬間に悔しさがこみ上げ、逆に火がつきました。『やってやろう』と」
そこから彼女の執念の逆転劇が始まる。理系に転向し、猛勉強を開始したのだった。
もう一つのきっかけは、幼い頃から体が弱く寝たきりだった姉の存在。物心ついた時から「医師になって姉を助けたい」という夢があったことを思い出したことが、寺井医師の背中を強く押した。
サラリーマン家庭に育ち、高額な私立医学部の学費は現実的ではなかったという。
彼女は、学費免除制度のある産業医科大学に入学。卒業後は産業医として勤務し、地域や企業の健康を守る現場で経験を積んだ。
しかし、決められたレールの上を歩む日々の中で、彼女の心には「自分の実力だけで勝負できる世界に挑戦したい」という想いが芽生え始める。
そして辿り着いたのは、結果がすべて目に見える形で現れる、自由診療の美容医療の世界だった。

「正解」は一つではない。対話から生まれるオーダーメイドの設計図
寺井医師の医療哲学は、徹底して「ナチュラル」であることに集約される。
彼女の元を訪れる患者の8割はリピーターだ。派手な変化を求めるのではなく、「どこを変えたか分からないけれど、なんだか若々しくなった」という絶妙なバランスを求める人々が、彼女の技術を信頼して通い続ける。
「一人ひとりの状況や予算、ダウンタイム、そして仕上がりの好み。すべてが異なります。だからこそ、医療としての正解は一つではありません。会話を重ねることで、その方の生活背景まで把握し、50種類以上のメニューから完全オーダーメイドで治療を設計します」
特に注入治療において、彼女は「ボリュームアップ」を目的としないことを徹底している。
加齢によるたるみの本質は、骨の萎縮にある。むやみにヒアルロン酸を詰めるのではなく、骨の上に支柱を作るように注入し、自然なリフトアップを目指す。
リスクの高い部位には、たとえ希望があったとしても別の治療を提案する。
相手を思ってこその真摯さが、信頼の獲得につながっている。また、照射系の施術においても、彼女のこだわりは細部に宿る。
施術を看護師が担当する場合であっても、寺井医師は必ず診察を行い、ショット数、深さ、熱量まで細かく指示を出す。
マニュアル通りの一律な対応は、ミサクリニックには存在しない。
看護師による施術であっても、それは寺井医師がその患者専用に描いた”設計図”に基づいて実施されるのだ。
台本なき「本音」が共鳴を呼ぶ。YouTubeの向こう側に映る、等身大の医師像
「清く、優しく、美しく」
宝塚歌劇団の理念を彷彿とさせる言葉が、クリニックの行動指針となっている。
寺井医師自身、かつて宝塚の舞台を目指した経験を持つ。夢破れた過去があるからこそ、美しさを追求する人々の切実な思いが痛いほど分かるのだ。
「外見の状態は、内面のコンディションを映し出す鏡のようなものです。患者さまがハッピーになれば、私たちスタッフもハッピーになる。そんなWin-Winの関係を築くことが理想です」
診療において彼女が最も警戒するのは、クリニック内の風通しが悪くなることだ。
多忙な時ほど、医師が「話しかけにくい存在」になってはいけない。
小さな違和感やトラブルの火種が早期に共有されないことは、医療安全を脅かす最大の懸念だと寺井医師は語る。
「だからこそ、私は業務の中でも『笑い』を忘れません。余裕がない時ほど、あえてユーモアを取り入れます。報告しやすい環境を作ること自体が、患者さまを守るための高度な技術だと思っています」
その人間味あふれるキャラクターは、YouTubeでの発信にも現れている。
台本なしのリアルな本音トークは、多くの視聴者の共感を呼び、今や新規来院の重要なきっかけとなっている。
かつて、45歳での出産を経てわずか数ヶ月で現場に復帰した際も、多くの患者から温かいエールが届いた。
「私が患者さまを支えているつもりでしたが、実は私自身が支えられていたんです」と、彼女は目を細める。

日常という「行動(Do)」に、美容医療を溶け込ませる
寺井医師の挑戦は、診察室の外へと広がり続けている。2026年4月、彼女は自社ブランド「Do skin(ドゥスキン)」を始動させた。
「美しさは、日々の正しい行動(Do)の積み重ねで作られる。特別な治療だけでなく、毎日のスキンケアに美容医療の知恵を届けたいと考えました」
開発の背景には、自身が敏感肌であること、そして出産を機に「赤ちゃんにも安心して使えるUVケアが必要だ」と痛感した経験がある。
ノンケミカルで保湿力に優れた「ピュアUVディフェンスミルク」や、施術後のデリケートな肌を鎮静・回復させる「リバースセラム」は、まさに彼女の美学を詰め込んだものだ。今後はオンライン診療を通じたドクターズコスメの処方体制も強化し、遠方の患者にも「安心して綺麗になれる選択肢」を届けていく。
白衣の向こう側に灯る、温かな情熱
寺井美佐栄という医師を象徴するのは、圧倒的な「多角的な視点」だ。一方向からではなく、診断、患者の心理、スタッフの労働環境、そして社会の価値観。常に複数の角度から物事を捉え、最適解を探り続ける。
「今さら綺麗になっても、誰も見ていないから…」
俯く患者に対して、彼女は「あなたが自分を好きになることが、一番の価値なんです」と微笑む。
美容医療とは、単にシワを伸ばすことではない。鏡を見た時の自分を、少しだけ誇らしく思えるようにすること。その小さな変化が、一人の人間の人生を、そして社会を明るくしていく。
「綺麗になるのを怖がらない社会」の実現。
その理想に向けて、彼女は今日も診察室で、一人ひとりの人生に寄り添う設計図を描き続ける。
寺井医師の白衣の向こう側にあるのは、挫折を知り、再生の喜びを知る、一人の女性としての温かな情熱であった。

編集後記
インタビューを通じて感じたのは、寺井医師が持つ「技術」と「哲学」の絶妙な共存である。医療をビジネスとして割り切ることも、あるいは単なるアートとして語ることもせず、一歩一歩積み上げてきた「経験」を何よりも尊重する。その誠実な姿勢こそが、美容医療という領域に漂う不透明さを払拭し、新たな信頼のスタンダードを築いていくのだろう。彼女が目指す先に、私たちがもっと自由に、もっと自分らしく美しさを追求できる未来が、確かに見えた気がした。
ミサクリニック 六本木本院
院長 寺井美佐栄(てらい みさえ)
産業医科大学卒業後、産業医を経て美容医療の世界へ。「綺麗になるのを怖がらない社会」を理念に掲げ、対話を重視したオーダーメイドの治療を設計する。宝塚音楽学校を目指した経験から培われた美意識と、挫折や出産を経験した等身大の視点を持ち、メスを使わず骨格から整える「ナチュラルな美しさ」を追求。2026年には自院ブランド「Do skin」を始動するなど、多角的なアプローチで患者を支えている。
寺井院長YouTubeチャンネル【ドクターみさえの「切らない」美容メソッド】
https://www.youtube.com/@misa.clinic
