”寿命を延ばす”医療に、未来はある。


──「死ぬまで元気」を掲げる医師の挑戦
篠﨑内科クリニック
院長 篠﨑 慶介(しのざき・けいすけ)


“病気を治す”ことは、医療の本質なのか。
そんな問いを、医療の最前線で投げかけ続ける医師がいる。

篠﨑慶介医師は、“病気にならないこと”を医療の軸に据え、地域医療の現場から新しい健康のあり方を示そうとしている。
患者ごとに設定された目標、そして医療を最適化させることで薬を”増やす”だけではなく”減らす”ことも可能な仕組み。

「死ぬまで元気でいるために、医療は何ができるのか」。
その問いとともに、今日も一人ひとりの生活に寄り添い続けている。

目次

“オーダーメイド”の医療を提供

大学病院での研修を終えたとき、篠﨑医師の胸にある種の違和感があった。
それぞれの診療科は高い専門性を持ち、質の高い医療を提供している。
しかし、そこでは「患者全体を診る」という診療科が存在しないことに気がついたという。

「糖尿病は糖尿病科、骨粗鬆症は整形外科、認知症は神経内科。どれも正しい。でも、患者さんの“体”はひとつなんです」
こうした気づきが、篠﨑医師を総合診療科という科に導き、後のオーダーメイド治療につながる事となる。

単に数値を管理する医療ではなく、生活や遺伝要因、家族背景までを含めて一人の人間を診る医療。
そうして本当に必要な予防を行い、健康寿命を延ばす医療の実現を、篠﨑医師は目指しはじめた。

薬を”減らす”勇気

篠﨑医師のクリニックでは、まず“血管”を診る。
頚動脈エコーを用い、プラークスコアや血管年齢で弾力性を評価。
これにより、患者の未来リスクを「見える化」する。特に動脈硬化の進行度は、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリス
クと直結する。

そして、ただ一般的な目標を目指して薬を処方するのではなく、患者の血管の状態、リスクファクターの数、遺伝的素因、年齢などのパラメーターを考慮し個々人に合わせた目標を設定する。
この「自分の状態に合わせた目標」は、患者の行動を劇的に変える。さらに、1年ごとに設定した目標が正しかったかどうかを再評価し、動脈硬化の進行が無ければ根拠を持って薬の減量や中止も可能となる。

「薬を出すのは簡単。でも、“薬を減らす勇気”も医師には必要です。最小限の医療で最大の効果を発揮することが求められていると思います」
篠﨑医師の信念は、医療における当たり前を問い直すものだ。医療は足し算ではなく、最適化のサイクルであるべきだと、日々の診療で証明している。

医療を“視える化”する仕掛け

この診療スタイルを支えているのが、”徹底的に作りこまれた患者サマリ“とそれを見やすくする“色分けカルテ”という独自の工夫だ。
医師が再診時にカルテを開けば、サマリの色のパターンだけで治療の変遷が一目でわかる。
スタッフ間の共有もスムーズになり、チーム医療としての連携が強化されている。

また、様々な医療DXを屈指して効率化が進むことで、患者とのコミュニケーションにも時間をかけられるようになり安心感の提供につながっている。
さらに院内では、待合室にも「視える化」の仕掛けを取り入れている。待合スペースにはモニターを設置し、健康に関する情報をスライド形式で発信。
患者は診療を待つ時間に自然と健康知識を得られる仕組みになっている。

Youtubeも作成しており患者さんへの疾患解説、啓発に役立てている。
こうした情報提供によって、患者自身が能動的に健康と向き合い、日常生活の中で予防を意識するきっかけが生まれているのだ。

医療の仕組み化を推進、志は全国へ

現在、篠﨑内科クリニックは法人化の準備を進めており、将来的にはこのモデルを全国に展開する構想も視野にある。
「うちがやっているのは、決して特別なことではない。“本来あるべき医療”を再現性のある仕組化しているだけです。」

そのためには、理念に共感する医師とのネットワークが不可欠だという。ただ拡げるだけでなく、想いでつながる仲間と共に、再現可能な“医療のエコシステム”を築いていきたい——そんなビジョンを語る。

また近年では、AIを活用した情報整理や、医療者・患者双方に届くメッセージ設計にも取り組んでいる。
すべては、より多くの人に「納得して医療を受ける」体験を届けるためだ。

地域医療に新しい医療のかたちを

「死ぬまで元気。」
この言葉は軽やかに聞こえるかもしれない。だが、その裏には揺るぎない覚悟がある。
「人は必ず死を迎えます。けれど、その時までをどう生きるか。“元気でいられる時間”を延ばすことこそ、医療が果たせる最大の役割だと私は思っています。」

一人ひとりの生活に寄り添う医療を大切にしてきた篠﨑医師が次に見据えるのは、次世代への継承だ。
「患者さんの数をとにかく増やしたい、とは考えていません。それよりも、私たちの理念に共感し、共に歩んでくれる仲間に出会うこと。それが何よりの財産だと思っています。」

オーダーメイドの医療、一人ひとりの生活に寄り添う医療、そして人生の最期まで伴走する医療へ。
篠﨑医師が提唱する医療のかたちは、これからの地域医療における重要な指針となるだろう。

篠﨑内科クリニック
院長 篠﨑 慶介(しのざき・けいすけ)

「死ぬまで元気」という理念を掲げ、病気を“治す”だけでなく“病気にならない”未来をつくる医療に挑む総合診療医。血管の状態や生活背景まで踏まえたオーダーメイドの治療設計を行い、薬を減らすことも選択肢とする最適化医療を実践している。徹底した“視える化”の工夫やDX活用により、患者が主体的に健康と向き合える仕組みを構築。地域から再現性ある予防医療モデルを広げ、誰もが人生の最期まで“元気で生きる”未来を目指している。

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