── 症状の奥にある「治る道筋」を見定める、外科医の眼を持つ内科医
いとう王子神谷内科外科クリニック
院長 伊藤 博道(いとう・ひろみち)

「薬を出して茶を濁すのではなく、本質を見抜く診断と、治療で治すことを大切にしています」。
いとう王子神谷内科外科クリニック 院長 伊藤 博道(いとう・ひろみち)医師の診療を貫くのは、極めてシンプルで、本質的な在り方だ。
咳や腹痛、血圧や血糖値。日常診療で出会う症状の多くは、ありふれているように見える。
だが、その背後には、長引く理由や見逃されやすい病態が潜んでいることがある。
伊藤医師は、症状そのものよりも「なぜそうなっているのか」「治癒へ向かう道筋を描けるか」を問う。
外科医として生と死の瀬戸際と向き合ってきた経験が、診察室での眼差しをつくった。
目の前の所見を点で捉えるのではなく、生活の背景や時間軸を読み解き、見極める。
その積み重ねが、いとう王子神谷内科外科クリニックの診療の輪郭を形づくっている。
生命への問いから始まった医師の道
伊藤医師が医師を志した原点は、幼少期の長い入院生活にある。
体が弱く、生命に関わる肺炎や腎臓の病気で入退院を繰り返した。
学校にも行けず、運動も制限され、病室の天井を見つめる時間が続いた。
「このまま死んでいくのかもしれないと思っていました」。
幼いながらに、生命とは何か、生きるとはどういうことかを考え続けたという。
電源も電池もないのに動き続ける身体。意識や感覚はどこから生まれ、なぜ終わるのか。
答えは出なくても、その仕組みを科学として学び、社会に還元できる道として医学を選んだ。
外科で鍛えられた「見抜く力」
進路として外科を選んだのは、「自らの手で人を救える医師になりたい」という思いからだった。
経験と技術を積んだ外科医でなければ、命の瀬戸際でメスを握ることは許されない。
だからこそ、外科で修練を積むことが医師としての基礎だと考えた。
大学病院や関連施設で研鑽を重ね、肝胆膵外科として高度な手術にも携わった。
しかし四十代に入り、指先や腕に強い痛みが出始める。
長時間手術と内視鏡を続ける中で、日常生活にも支障をきたすようになった。
「失敗をする前に、一度立ち止まろうと思いました」。
外科から内科へ、そして開業へ。予定より早い決断だったが、その選択が現在の診療につながっている。

症状ではなく、病態の“芯”を見る
伊藤医師が診療で最も重視するのは、診断の質だ。
目先の症状に対処するのではなく、病態の本質を見極め、治る方向性をつけること。
長く咳が続く患者が、適切な検査と治療で短期間に改善することも少なくない。
また、外科医としての経験は、常に「がんの可能性」を意識する視点をもたらした。
黄疸や体重変化、会話の中ににじむ違和感。数字や画像だけでなく、五感を使って拾い上げる兆しがある。
必要があれば、速やかに専門医療へつなぐ。その判断の早さは、日常診療の中で培われてきたものだ。
検査についても、一度にすべてを行うのではなく、時間軸で組み立てる。
患者の負担や保険制度の制約を踏まえ、数年単位で全身を見渡す管理を行う。
「患者さんを三次元、四次元で見る」という言葉には、現在と未来を同時に見据える臨床観が込められている。
地域医療の矛盾と向き合いながら
開業後、経営面では順調に軌道に乗った一方、伊藤医師が強い問題意識を抱いているのが、インターネット上の口コミや誹謗中傷だ。
待ち時間や設備といった診療の本質とは異なる部分が、評価として残り続ける。
その影響が、医療者のモチベーションや地域医療全体に及ぶ現実を、現場で痛感している。
それでも、本当に困っている人に寄り添い、救っていきたいという想いを胸に、現場に立ち続ける。
その姿勢が、結果的に混雑を生み、時には批判につながる矛盾を抱えながらも、「正しいと思うことを粛々と続けるしかない」と語る。
今後は、内視鏡や乳腺領域を軸に、診断から専門医療への橋渡しをより強化していく構想がある。
地域の医療機関との信頼関係を積み重ね、「ここを紹介したら安心」と思ってもらえる存在になること。
それが伊藤医師の描く未来像だ。

本質を見抜くということ
伊藤医師が、飾った言葉で医療を語ることはない。
診察室で向き合ってきたのは、常に目の前にいる一人の患者だった。
いま、その人にとって何が最善なのか。
どこまで踏み込み、どのような背景を引き出すのか。
診断と治療の積み重ねの中で、磨き続けてきた。
その眼差しは、診察室の中だけに留まらない。
医療を取り巻く制度や環境、現場と社会の間に生じる歪み。
そこに目を背けることなく、「このままでいいのか」と問いを投げかける姿勢もまた、伊藤医師の医療の一部だ。
本質を見抜くこと。
それは、病気の正体を見極めるためだけの言葉ではない。
日々の診療の積み重ねの先にある、医療という仕組みそのものを見つめ直すための視線でもある。
伊藤博道医師は、今日も最前線で医療の本質を捉え続けている。
いとう王子神谷内科外科クリニック
院長 伊藤 博道(いとう・ひろみち)
幼少期の長い入院生活を原点に医学の道へ進む。大学病院などで肝胆膵外科として研鑽を積み、命の瀬戸際で鍛えた「見抜く力」を強みとする。現在は内科医として、症状だけにとらわれず、生活背景や時間軸を含めて病態の本質を診断。がんの可能性も常に視野に入れ、必要に応じて迅速に専門医療へつなぐ。治癒への道筋を描く診療を、地域医療の現場で実践し続けている。
