
医療の原点は、患者の“今”を知ること
かつて“整形”という言葉に代表されていた美容医療は、今では多くの人にとって日常に溶け込んだライフスタイルの一部となっている。その変遷の只中で、美容皮膚科という新たな領域が確立されてきた。その黎明期からこの分野に携わり、患者の声を拾い上げることにすべてを捧げてきた一人の医師がいる。
医療法人社団 優恵会 理事長 廣瀬 嘉恵(ひろせ・よしえ)だ。
廣瀬医師は東邦大学時代、日本で初めて大学に導入されたレーザー治療機器を前に、当時無名だった“美容皮膚科”という分野に心を奪われた。
それから20年以上。医療法人社団 優恵会を率い、8院を展開するまでになった廣瀬嘉恵医師は、今も変わらず「患者の思いに寄り添う」ことを医療の原点として掲げている。
美容皮膚科との出会いと原体験
美容皮膚科との出会いは、まさに“医療の未来”を見た瞬間だった。
廣瀬医師が皮膚科医として東邦大学に在籍していた頃、恩師である漆畑修教授が、日本美容皮膚科学会の立ち上げを主導していた。学会の創設に立ち会い、論文を読み込みながら治療法を模索する日々。
そこには、まだ確立されていなかった分野をゼロから築き上げていく挑戦があった。大学にレーザー治療器が導入されたのもこの頃。廣瀬医師は「シミ治療だけで、患者さんが涙を流して喜んでくれる。その姿を見て、この医療には大きな価値があると確信しました」と語る。
当時、美容医療に対しては、医師の間でも一定の偏見があった。「美容をやっている医者」というだけで、学術的な場で評価されにくかった現実もあった。それでも廣瀬医師は歩みを止めなかった。「患者さんの“人生の一瞬”に伴走できる医療」であるという信念が、前へと進ませた。

カウンセリングは“人生の文脈”を読み取る場
クリニック開業当初は、保険診療の皮膚科も並行していたが、美容医療へのニーズは想像以上に大きかった。
「大学病院だと薬や機器の制限があります。でも自分のクリニックでは、必要なものを自分の判断で取り入れられる。その自由度が、患者さん一人ひとりに寄り添う診療につながりました」
そう語る廣瀬医師のもとには、保険診療を超えて「美しく歳を重ねたい」と願う多くの患者が訪れるようになった。
とりわけ注力しているのは「アンチエイジング」だ。整形とは異なり、自然な美しさと健康を維持することに重きを置く美容皮膚科。その中心にあるのが、老化と向き合う40代以上の女性たちだ。「20代のような派手さよりも、自分らしさを保ちながら美しくありたいというニーズに応えるために、日々の診療があります」
初診のカウンセリングでは、まず「なぜ今、来院されたのか」に耳を傾ける。「シミやたるみは昨日今日で急にできたわけではない。でも『今』気になったのは、必ず何かきっかけがあるはずなんです」
その背景にある思いや生活の変化を丁寧に聞き取り、患者と共に解決策を探る。その姿勢は、まるで“人生の節目にそっと寄り添う伴走者”のようだ。
「選ばれる理由」は理念の実践にある
現在、医療法人社団 優恵会は8つの医院を展開し、90名を超えるスタッフを抱える規模へと成長している。しかし規模が拡大しても、廣瀬医師の関心は一貫して「理念の浸透」にある。
「スタッフ全員が“患者さんの思いに寄り添う”という私たちの根本理念を理解し、実践できるようにすることが何よりも大切です」
そのために重視しているのが教育だ。独自の研修制度を整え、日々の診療を通じて理念が自然と染み込むような環境づくりを行っている。若い女性が多い職場ゆえ、結婚・出産などのライフイベントによる離職リスクも高い。しかし近年では、出産後に復職するスタッフも増えており、教育体制が働きやすさにもつながっているという。
「スタッフが安心して働き続けられる環境を整えることが、患者さんへの誠実な医療にもつながるんです」
この言葉に、医師として、経営者として、そして一人の女性としての覚悟がにじむ。

SNSとYouTubeで、患者に“届く言葉”を
情報発信の取り組みにも抜かりはない。
「美容医療は、正しい情報が届いていないと誤解されがちです。だからこそ、私たち自身が発信者になることが必要だと思っています」
ホームページの整備はもちろん、InstagramやYouTubeも活用する。派手な演出よりも、現場の空気感やリアルな情報を伝えることにこだわる。
「上手に話せるわけではないけれど、患者さんが“知ってよかった”と思ってもらえるような動画にしたい」
そう語る表情は、誠実そのものだ。
また、SNSからの集客も年々増えている。
「口コミで友人を紹介してくれる方も多く、信頼の連鎖がクリニックの力になっていると感じます」
組織を育てることは、信頼を育てること
廣瀬医師が描く今後のビジョンは、“質を守る拡大”だ。規模を追い求めるのではなく、「どれだけの患者に寄り添えたか」という質の指標を最優先に考えている。
「スタッフ一人ひとりが、自分自身の診療に誇りを持てること。その集合体が、優恵会という組織の力になると信じています」
また、次世代を担う若手医師やスタッフに対しても、惜しみなく知見を共有する。
「美容医療に対して後ろめたさを感じる時代は終わりました。これからは堂々と、患者の人生に貢献できる医療として、真っ直ぐに歩んでほしいです」
その言葉には、黎明期を知る医師だからこそ持てる確信と希望があった。
“美しさ”を編み直す
廣瀬嘉恵医師の歩みは、美容皮膚科という分野が「医療」としての信頼を獲得してきた歴史そのものだ。かつて偏見の目で見られていた美容医療を、真摯な診療と患者理解によって根付かせたのは、まさに彼女のような医師たちの実践の積み重ねである。
“美しくありたい”という思いの背景には、それぞれの人生がある。
就職、結婚、子育て、再出発——
その一つひとつに寄り添い、解像度高く受け止め、そっと背中を押す。
それは単なる美容ではなく、人生を彩る医療そのものだ。
美しさとは、誰かに定義されるものではない。
廣瀬医師の診療室では、今日もまた一人、人生を前に進める患者が、新しい自分と出会っている。

廣瀬 嘉恵(ひろせ・よしえ)
美容皮膚科の黎明期からこの分野を牽引してきたパイオニア。東邦大学で日本初導入のレーザー治療に触れ、その可能性に魅了されて以来、20年以上にわたり「患者の思いに寄り添う医療」を追求してきた。現在は医療法人社団優恵会の理事長として8院を展開し、理念教育や働きやすい環境づくりにも尽力。アンチエイジングを中心に、人生の節目に寄り添う診療と、SNS発信を通じた正しい美容医療の普及に力を注いでいる。
