耳鼻咽喉科から睡眠医療へ――「めいほう睡眠めまいクリニック」中山明峰院長に聞く、予防医療の新しいかたち

めいほう睡眠めまいクリニック中山明峰院長

愛知県・名古屋駅前にクリニックを構える「めいほう睡眠めまいクリニック」。院長の中山明峰先生は、耳鼻咽喉科の専門医として“めまい”の診療に携わる一方で、睡眠医療の第一線でも長く研究を重ねてきました。めまいと睡眠。一見別の症状のように思える2つを結びつけ、独自の診療体系を築いています。今回、先生のこれまでの歩みと診療への思いを伺いました。

めいほう睡眠めまいクリニック院長・中山明峰医師
目次

「めまい」は隙間産業の疾患

中山先生の専門は耳鼻咽喉科。その中でも三半規管に起因する“めまい”に注目してきました。
「めまいは耳だけでなく、脳神経外科や神経内科、循環器内科、精神科など、多方面に関連する疾患です。ところがどの診療科も専門としては扱いにくい。耳鼻科も本来は外科系で、めまいを熱心に診る医師は少ない。まさに“隙間産業”の病気なんです」

めいほう睡眠めまいクリニック院長・中山明峰医師(インタビュー写真)

それでも中山先生は、めまいにこそ医学の境界を越えた総合的な視点が必要だと気づき、研究を重ねてきました。1980年代にはすでに「めまいとメンタルは切り離せない」と論文を発表。精神的要因を含めて治療にあたる重要性を早くから訴えていました。

睡眠医療との出会い

転機となったのは1990年代。中山先生の恩師・塩見利明先生が日本で初めて「睡眠医療センター」を設立し、副センター長を務めたことでした。
「めまいとストレス、そして睡眠不足。これらが密接に関係しているのではないかと考え、患者さんの睡眠脳波を調べたんです。すると、メニエール病患者には睡眠の異常が見られることが分かりました。2010年に発表した論文は国際的にも注目され、私の診療の方向性を大きく変えるきっかけになりました」

以降、中山先生は“めまいの治療は睡眠から”という視点を徹底。睡眠の質を改善することで、めまいの再発を防ぐケースを数多く経験してきました。

名古屋駅徒歩1分という好立地に込めた想い

めいほう睡眠めまいクリニック外観(名古屋駅前のクリニック入口)

2010年代、大学病院での研究・診療を経て開業を決意。名古屋駅から徒歩1分という好立地に「めいほう睡眠めまいクリニック」を開院しました。
「患者さんは地元だけでなく、遠方からも来られます。全国どこからでもアクセスしやすい名古屋駅前にしたんです。家賃は銀座並みで正直大変ですが、患者さん中心で考えました」

診療は完全予約制。大学病院のように検査や診察が何カ月も先延ばしになることなく、初診時に必要な検査をまとめて行い、治療方針をその場で提示します。すべて保険診療で対応しているのも大きな特徴です。
「利益追求ではなく“理想の医療”を届けたい。その思いだけでやっています」と中山先生は語る。

めいほう睡眠めまいクリニックの診察室

社会に広げる睡眠教育の輪

臨床だけでなく、中山先生は睡眠教育の普及にも力を注ぐ。
非営利団体「寝る子は育つ協会」を立ち上げ、無料セミナーや認定制度を通じて、医療者や教育者が学校や地域で睡眠指導を行える仕組みを構築している。

不眠が不登校や若者の離職につながる社会課題に対し、薬ではなく生活改善で解決を目指す活動だ。

自身のこれまでの経験や知見を、教育の現場や若い医師に還元していくことが、社会課題の解決につながるのではないかと中山先生は考える。

境界を越えた理想の医療を目指して

めいほう睡眠めまいクリニックの待合室と受付

「日本の医療は縦割りで、科ごとに区切られてしまっています。でも病気は全身を通して起こるもの。だからこそ、医師が境界を越えて診る必要があるんです」

中山先生は、めまいの診療に取り組む中で、症状の背景に睡眠の乱れやストレス、メンタルの影響があることに気づき、独自の医療体系を築いてきた。

「一人ひとりの生活や環境に目を向け、根本からの改善を目指すこと。それが私にとっての“理想の医療”です」

インタビューの中で、”恩返し”という言葉を何度も口にしていた中山先生。医師として培ってきた知識や経験を、一人ひとりの生活改善に役立てること。そして、睡眠教育を通して社会全体の健康を支えること。そのすべてが、先生にとっての恩返しの形だという。中山先生が考える医療の輪は、今日も少しずつ広がり続けている。

めいほう睡眠めまいクリニック http://suimin-memai.com/
非営利法人「寝る子は育つ協会」https://note.com/neru_soda3

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